モリブロ

ここ最近はよく悩んでいる。

河原にて

 別に、周りと大きく違った人間ではないから。地面を分かつ大きな亀裂が僕たちと彼らを隔てるのを確か、ぼんやり見ていた。その時は僕の足元から地面がひび割れはじめて、ああ、人の多くいる方へと歩みを進めた。もしこっちではない、少ない人たちのところでは友達ができないかもしれないし、なにより恐い。断絶に断絶を重ねると、焦って向こうからこちらへ、逆にこちらから向こうへと、脆い橋を架けてはそろそろと足を置き、崩れ死ぬ連中がちらほらいて、なんとも、ないものねだりでは人生うまくいかないのだった。

 ことあるごとになにか汚いと思った。ことあるごとになにか気色が悪いと思った。一面を見ては多面が気になる僕は子供なのかもしれないと思った。あちらに行きたいわけではなかったが、こちらで生きながらえるには発狂しかねない閉塞感。しかし、僕も皆とおんなじくなってしまえばなんてことはなく、息苦しささえ感じても絶え絶え然として生きていくことはできた。

 

 

 でも、今ここは賽の河原。三途の川の始まりらしかったけど、どうにもここは豊平川だと思った。ガキが数人いるし、まわりには見知った連中ばかりいる。僕が鬱陶しいと思っている。僕を明るくして、馬鹿にして、捻じ曲げて、挙句の果てに飽きてポイしたあいつらがわんさかいる。どうだっていいのかもしれない。ここは賽の河原。石を積んで、積んで、でも、僕は母や父のことは呟かずに、自分のことばかり考えている。ここからなら生きて帰れるかもしれない。なぜ死ぬことになったかわからないし、死ぬべきだと常々思っていたけれど、三途の川に卑しい連中をぶん投げておぼれさせたい。現実で死に、あの世で死に、合計2度死ぬ———。これが、そう、これが生きた意味、妙案だ、と思って後ろを見ると、ああ、そうか、僕はまだ死んでいなかった。そう、そうですか。じゃあ、僕は現実を生きます。そういうのは、夢の中だけの話でしたのでご勘弁願います。