「俺はもう終わった人間だから」というのは彼の口癖。ことあるごとに言うのだけれど、だったら死ねばいいのにと思う。口には出したことがない。彼がその言葉を忌み嫌っているような、欲しているような気がするから。 彼と会うのは1週間ぶりくらいかもしれな…

別に、周りと大きく違った人間ではないから。地面を分かつ大きな亀裂が僕たちと彼らを隔てるのを確か、ぼんやり見ていた。その時は僕の足元から地面がひび割れはじめて、ああ、人の多くいる方へと歩みを進めた。もしこっちではない、少ない人たちのところで…

金や手間も掛けずに子どもが立派に育つことを、世間では”親孝行”と言うらしかった。親戚や近所は僕のことをそうやって持て囃したけど、その時に兄の話が一切でないことに違和感を感じたことを覚えている。兄は、今は何もしていないから。もしも彼らが兄に触…

何者かになりたい、何かアイデンティティが欲しい。みたいなことを高校生の時に強く思っていたような気がします。今もきっと思っていますが、そこまで面倒なことをしなくてもいいやと意識的に考えています。 当時の私は、映画マニアになることが個性的でいて…

積読が30冊くらいある。暗めの本が半分くらいあって、これから社会人になろうって気持ちを削ぐ。そんなに積読があるのに、そこそこの頻度でジュンク堂に行く。ジュンク堂は、まだ買っていない積読がたくさん置いてある。楽しい。 ジュンク堂は大通駅で降りて…